リア充という特権階級 第五話(食べることと料理すること)

AI、ビッグデータが普及したときの、食生活について考えてみました。

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アキラは料理を作ることが好きだ。

今日は、ロシア料理のボルシチとビーフストロガノフを作ろうと思って、オンデマンドフーズというサイトで食材をオーダーした。スパイスを含め、ちょうどいい量が届く。

そして、オンラインフーズの提供する秘書アバターのシズカが料理の仕方を手ほどきしてくる。食材の大きさや煮込みの時間も的確に伝えてくれる。味の好みも覚えてくると、ロシアの人はもう少しディルを入れるけど、アキラはこのくらいが好きかもね。と、微調整してくれる。

煮込みに時間がかかるときは、お鍋に取り付けられたかき混ぜ機を制御して、焦げ付かないようにしてくれる。

コンビニの2階はよくオンラインフーズの調理場になっていて、そこで調理した料理をドローンでデリバリーするサービスも提供している。メニューはそこまで多くないが、できたてを家で食べれるため、たまに使っている。近頃は、自動販売機ではなく、オンラインフーズでコーヒーを買うようになった。

オンラインフーズでは、ロボットが料理を作っているが、秘書アバターとオンラインフーズのアバターが相談して、ご主人様が好きな味を保ちつつ塩分を控えたり、アレルギーのある食材を入れないようにしたりしてくれる。

アキラのように料理好きな人のために、オンラインフーズでは切っていない野菜をあえてデリバリーするサービスをしているが、あらかじめ下ごしらえしてある材料より下ごしらえされていない材料の方が人気があるらしい。

オンラインフーズとシズカを使って、フランスで一番予約の取れないレストランのメニューを作ることもできるが、そこは食材の質が違うため完全には再現できないらしい。アキラも一度チャレンジしたが、下ごしらえが大変過ぎて、その一度だけでやめてしまった。